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2006年12月14日木曜日

「柳宗悦と朝鮮民画」展


※写真は2006年10月13日に韓国文化院『韓国民画の古今』にて撮影した作品

私が朝鮮民画にはじめて出会ったのは、飛行機のトランジットのためにソウルに3日間だけ滞在した時だった。当時は「アンニョンハセヨ」も知らず、ハングル文字も
まったく読めなかったのだが(後に学ぼうとしたが挫折)、泊まっていた旅館の近くの大きな書店で「イ・サンウン」と身振り手振りで繰り返してリーチェのCDを見つけ、会計を済ませようとしたその時、レジのそばにあった絵はがきセットが目に留まった。民畫(MINHWA)については何一つ知らなかったが、その鮮やかな色彩と、何とも言えない温かさに心奪われた私は、迷うことなくそれを購入した。

以来、民画についてウェブで調べたり、図録や画集を眺めることはあったが、生の作品を目にする機会はなかったし、人から伝え聞くこともほぼ皆無だった。しかし、今年の10/13には東京の韓国文化院で
『韓国民画の古今』
という講演+展覧会が開かれ、その本来の用途や象徴する世界観について話を聞き、ついに生の作品に接することができた。現代の民画継承者である丁昇禧さんの作品は技術的にもかなり完成度の高い印象で、あでやかな色使いはため息を誘った。だが、残念ながら文化院での展示は一日のみで、その後は大阪での展示に運ばれるとのことだった。

そこで先日は、同じく東京の日本民藝館で12/20(水)まで開催されている『柳宗悦と朝鮮民画』展に足を運んだ。こちらは丁昇禧さんの作品とは異なり、
技術的に「うまい」ものも確かにあるが、多くは西洋近代絵画の基準に照らして言えばどう見ても稚拙な「非専門的な作品」で、これなら私の方がうまいとおかしな
自信さえ抱かせてくれるものだった。形式やテーマ、民族独自の集合的な世界観などはある程度一貫しているとはいえ、まさか後世に異国で鑑賞されるなどとは
夢にも思わずに、当時の朝鮮でも民衆がのびのびと楽しみながら表現していたであろうことが偲ばれた。

ナイーブアートやらアウトサイダーアートといった定義が、<アカデミックな美術教育を受けたことのない人や、非職業的作家の表現>ならば、朝鮮の民画もまさにその一環だろう。けれども、逆にインサイダーのアートとは何かと考えると、<おそらく全人口の5%にも満たない、閉じたマイノリティの表現>ということになろうか。日本民藝館のサイトトップには、「民藝館の使命は美の標準の提示にある」という柳宗悦のことばが記されているが、美とはきわめて個別的・主観的で、もっとも標準化になじまないものではないかと私は思う。それでもしいて最大公約数的な共感を呼び起こすものだとするならば、その本質はかなり根源的な集合的無意識の表出ではなかろうかとあらためて感じさせられた。

<関連リンク>

雑誌スッカラ2006年11月号「特集:情感あふれる韓国の民画
~柳宗悦が発見した韓国の宝もの~」


Korean Folkpainting: All About Minhwa
イメージベース1~4(画像集)

The Seoul Times 『うれしい!朝鮮民畫』展関連記事
(『柳宗悦と朝鮮民画』展示作品一部画像あり)

JoongAng Daily 『うれしい!朝鮮民畫』展関連記事
(驚いたことに、同展の多くの作品が日本からの里帰りであったことがわかる)


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